講演会

いきもにあ2024会場内にて講演会を開催します!

▷場所

いきもにあ2024会場内

 

▷内容

みんなの人気者からマニアックな生物まで、専門家による楽しくてためになるお話をお届けします。(各回30分+質疑応答15分)

 

▷お申し込み

不要。時間になりましたら講演会場にお越しください。

 

▷対象

0歳〜。

お子様連れの方は会場前方のシートをご利用ください。赤ちゃんが泣いても大丈夫!

いきもにあは、あらゆる世代の方にお楽しみいただくイベントです。

 

▷定員

各回200名程度(入れ替え制)

 

▷タイムテーブル

◉10月26日(土)

[第一部] 14:00〜14:45

『ゴキブリふれあいのすゝめ』

 

柳澤静磨

磐田市竜洋昆虫自然観察公園職員。ゴキブリ類の分類についての研究を行う傍ら、講演会や展示でゴキブリの魅力を伝えている。主な著書に『ゴキブリ嫌いだったけどゴキブリ研究はじめました』『ゴキブリハンドブック』『愛しのゴキブリ探訪記』『ずかん ゴキブリ』『学研の図鑑LIVE 新版昆虫:ゴキブリ目』がある。

多くの人に「家に出る嫌われ者」として知られているゴキブリですが、実は屋内に出没する種は全体のごく一部です。ゴキブリは日本に64種、世界に4600種以上が確認されており、色・形・生態はとても多様で、家の中に出てくるゴキブリと同じ仲間とは思えないような外見、生態を持つ種も存在しています。

害虫としての側面が有名である一方、ゴキブリ全体の多様さについては知らない方が多いと思います。様々なゴキブリに目を向け、ゴキブリの多様な姿を知ることで固定概念が崩れ、苦手意識が少し薄れるかもしれません。

ゴキブリについてのお話をして少しゴキブリの世界に足を踏み入れていただくのもいいですが、今回はもう一歩進んで、「ゴキブリふれあいのすゝめ」として、ゴキブリとのふれあいの方法、ふれあいに適したおすすめの種をご紹介します。

実際に数種のゴキブリも連れていくので、講演終了後にブースで実際にふれあっていただくこともできます。見て、聞いて、触って、ゴキブリの固定概念をひっくり返しちゃってください。

[第二部] 15:30〜16:15

『コケの絨毯に広がる生態系』

 

今田弓女

京都大学大学院理学研究科助教。専門は進化生態学。昆虫と植物の関係を中心に、多様な生物の生態や種間関係を調べています。生物の研究者になることは、小学生時代からの夢でした。人知れず形づくられてきた生態系と、それが変化し続ける歴史・変遷を知りたいと思い、日々、研究しています。

 

 

 

“苔生す”という言葉があります。これは、悠久の時をあらわしています。

実際、コケは最初に大地を覆った陸上植物で、その形や生態は他の植物と大きく異なっています。

コケはあらゆる環境に生え、コンクリート壁、道路の側溝、街路樹の幹などでも見つかります。普段は小さくて目立ちませんが、雨上がりには水を吸って青々と葉を広げたコケが目に飛び込んできます。近づいて見ると、非常に小さな森のようです。

「苔生す森」は美しい風景として注目されることがあります。たしかに風景の一部ですが、コケ自体、悠久の時を経て進化してきた生物です。私は、コケが森林生態系のなかでどんな役割を果たしているかという側面に興味をもっています。

私は、苔生す森を訪ねては、そこでコケと暮らす動物やその痕跡を探し、観察しています。何年も観察を続けるなかで、コケを食べる虫やコケで巣をつくる鳥などについての多くの発見がありました。コケの絨毯のなかで一生のほとんどを過ごす昆虫もいて、それらがコケとともに進化してきた歴史も分かってきました。

そんな「コケと動物の関係」について紹介します。

◉10月27日(日)

[第一部] 13:00〜13:45

『それ、コケムシです!水中の小さな群体生物の知られざる魅力』

 

広瀬雅人

北里大学海洋生命科学部講師。研究分野は水生無脊椎動物の系統分類学、コケムシの生物学、付着生物をとりまく生態学。高校生のときにコケムシと運命の出会いを果たして研究を続けてきましたが、最近はさまざまな無脊椎動物の骨格や生活史にも興味をもって研究しています。それでも一番はやっぱりコケムシです。

 

 

コケムシというと、どのような生き物を思い浮かべますか?コケの中に住んでいる小さな昆虫を想像される方もいるかもしれません。でも、今回ご紹介するのは水の中にいる動物です。

カキやホタテを食べるとき、貝殻の表面にザラザラした硬いコケのようなものが付着していることがあります。貝殻に付いたゴミ・・・ではなく、それこそがコケムシです。コケのように見えるのは体長1 mmもない多数の小さな個虫でつくられた群体です。 コケムシの個虫は各々が触手を使って水中の微生物などをろ過して食べています。

一方、群体のかたちはコケのように基質の表面に貼りつくものから海藻のようにひらひらと立ち上がるもの、さらにはサンゴにそっくりの骨格をつくるものまで多種多様です。 コケムシは日本に1000種以上生息していると考えられますが、その半数以上がまだ名前の付いていない未記載種(新種の候補)です。

今回は、イマイチ知名度は高くないけどじつは私たちの身近にも存在するコケムシという動物について紹介するとともに、私自身の最新の研究成果も交えてその多様な生き方の魅力に迫っていきたいと思います。 この講演を聞いて、みなさんもコケムシを探してみたくなってもらえると嬉しいです。

 

[第二部] 14:30〜15:15

『植物の行動生態学』

 

山尾僚

京都大学生態学研究センター教授 2012年に鹿児島大学大学院連合農学研究科で植物とアリの共生関係に関する研究で博士号(農学)を取得。日本学術振興会特別研究員(PD)を経て、2015年に弘前大学農学生命科学部へ助教として着任。2023年3月より現職。植物の柔軟な環境応答に着目し、生態系の仕組みや生物の進化を解き明かす研究をおこなっている。

 

 

食卓に並ぶ野菜や通学・通勤中に目にする街路樹や道端の草花など、私たちは日頃から沢山の植物たちに囲まれて生活しています。しかし、その植物たちが、敏感に周囲の環境を感じとり、ダイナミックに応答していることを、私たちは普段の生活で意識することは殆どありません。

私たちは様々な実験方法を駆使することで、身近な植物たちの環境刺激に対する応答を調べてきました。その結果、ヤブガラシの巻きひげは自己への巻き付きを回避し、アカメガシワは葉の上に訪れたアリを感じとり、オオバコは時として“きょうだい”と協調して他種との競争に挑んでいるなど、これまで考えられてきた以上に植物たちが周囲の状況に応じて柔軟に対応し、多様な課題を解決していることが分かってきました。

身近な植物たちの知られざる環境応答の多様性を実験方法と一緒にご紹介したいと思います。